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    ロバート

    渋谷・ファッションサークルのカリスマリーダーからの転身
    バートが自身に課した

    元メンバーとの約束

    ダンス&ボーカルグループ「SAM*RAIJAM(サムライジャム)」のリーダー・ロバート。彼は18歳の頃、渋谷のファッションサークルのカリスマ的リーダーとして君臨した。そして、メンズアイドルとして活躍。そして今、ダンス&ボーカルグループのリーダーとして日々ステージに立っている。彼はカリスマリーダーを捨て、なぜアイドルという道を選んだのか。ロバートの知られざる過去に迫る。

    松原大輔 / 編集者・ライター

    「元々は YouTube をやっていた 4 人が今のグループです。だから音楽は後付けの形になっているんです」

     YouTuberからメンズアイドルグループへ。ここだけ切り取れば如何にも今時な流れだろう。語ってくれたのはロバート。ダンス&ボーカルグループ「SAM*RAIJAM(サムライジャム)」のリーダーにして、イベント主催者でもある。

    だがただ単にYouTuberがアイドルに転身したわけではない。ロバートには昔から人を惹きつけるだけの何かがあった。

    ファッションサークルのリーダーとなる

    「父は日本人で母はフィリピン人のミックスです。母がシンガーソングライターなので小さい頃から音楽に触れる環境で育ちましたね」

     母の勧めもあり小学生の頃はダンスとクラシックバレエに取り組んでいた。

    スポーツはバスケを始め、学生生活を送る中でふと自分自身が何者であるのか、思春期特有の壁にぶつかり悩むことになる。

    「18 歳くらいですかね。学校生活も凄く孤独に感じていました。姉が美容師をやっていたので自分も興味を持ち美容の専門学校にいったんです。そんな時にファッションサークルに出会ったんです」

     当時、原宿を中心にしたファッション系のサークルが流行っており、渋谷などのクラブでは学生サークルが1,000人規模のイベントを行うなどしていた。

    「そのサークルにスカウトされたんです。入った時は全国規模で300人くらいらいメンバーがいたと思います。そのサークル内でやっぱり派閥があるんですけど、そこで代表をやりたいと名乗り出て、東京、大阪、名古屋の総代表になりました」

     わずか18歳にして自ら立候補し、150人を束ねるサークルの代表となった。

    だが、当然ほとんどが年上であり、若さと勢いだけで統率できるものではなかったがここでの経験は大きかった。

    「18歳の若造が目を輝かせながら携帯一つでみんなに声をかけて、タイムテーブルを作ったりしながらファッションイベントを主催していましたね。これがイベント主催のスタートですね。もちろん自分もモデルとしてランウェイを歩いてとやっていました」

     規模の大小はあれどファッションショーを企画し自ら取り行うことは凄まじい行動力だろう。だが、当時は無知だったためある種、周りの大人たちに使われる形で一切お金はもらわずに、純粋に楽しいからやっていたという。

    自身で決めた突然のサークル解散

    「今、振り返れば自分はいいカモですしたね(笑)。それで19歳の時に気が付くんです。このままじゃ飯は食えない。楽しいけどこのままじゃダメだと」

     そしてあるイベントでプロのアーティストと一緒になる機会を得る。その出会いがロバートの意識を変えることになる。

    「WHITE JAM さんと一緒になる機会があったんです。その時、フロアでリハを見させてもらったらシロセさんの歌声と仕草がカッコよくて。それに惹かれていたら、声をかけてくださってアルバムをいただいたんです。それから一気にライブハウスで音楽をやるのがカッコイイなって気持ちが芽生えましたね」

     アーティストがアルバムを渡す。この何気ないやり取りがその後のロバートに大きな影響を与えていた。音楽は素晴らしい。そもそも、幼少期より母の教えで音楽に触れて育ってきた。だから、音楽の道にいくために必要なものはきっかけだけだった。

    「自分の中で EXILE さんみたいなグループを作りたいなって思って、サークルを解散することにしたんです。色々あってその頃には60人くらいになっていました」

     代表就任から1年後、人数は減りはしたが付いてきてくれた仲間が60人。そのメンバーを前に「今日で解散します」という突然の解散宣言。当然、全てのメンバーが納得するはずもなく場は荒れた。突如の解散だけでも驚くのに、その理由がロバートがアーティストとしてステージに立ちたいから。

    駆け抜けた青春

    「初のワンマンの会場も結成しようって言った時に自分が会場にすぐに電話で交渉しました。そういう勢いでしたね」

     当時、10人以上の男女で構成されるグループは珍しく、ライブ活動を繰り返していくにつれ徐々に話題となり、メジャー事務所からも声がかかることとなる。

    「事務所に全員で移籍して、最後の勝負だって挑んだんですがコロナ禍もあり、気持ちが分散していって……」

     結果的にグループは道半ばの2020年で活動を休止。その後、ロバートは事務所も辞めることとなる。最後まで駆け抜けた青春だった。

    空白の時間

    「今やっているSAM*RAIJAMが始まるまでの空白の時間は、もう何もできなかったですね。しばらく何も考えられなかったです」

     再起しようという思いはあった。だが、グループのメンバーと共に描いてきた夢が閉ざされ、そのメンバーがいないのに次は何をすればいいのか考えることすらできなかった。そこで彼は気が付いた。音楽よりもメンバーと活動することが自身のエネルギーになっていたと。

    「友達であり、戦友であり、仲間であった人たちを当時は自分が導けなかったことに対して、自分を責めていました。だからこそすぐには再起ができませんでした」

     再びアルバイトをしながら、年に数回イベントを企画するなどして、音楽とは付かず離れずといった状態だった。そしてしばらくして、何かを取り戻したいと思い、次のグループの企画をずっと考えることに時間を割いていた。

     ライブイベントの裏方をやりながら、またあのメンバーで何かできないものか。そんなことをずっと考えひとつの企画書を作り上げた。それが今の「SAM*RAIJAM」となる。

    「SAM*RAIJAM」結成秘話

    「SNS の使い方も変わって、スピードが早い時代の中で自分も年齢のことも考えたりして、実はだんだんと自信がなくなってきたんです。周りは続けていて、他のグループに入るっていう選択肢も絶対あったと思うんです。でも当時の自分は頑なに元メンバーとじゃなきゃやらないって自分の中で固く誓った約束があったから、それを守り通していました」

     元メンバーと再び活動したい。それがロバートの信念であり、責任の取り方だったのかもしれない。

     3年後のある日、きっかけは突然やってきた。イベントのためのスタジオ練習で現メンバーと合っていた時に誰からでもなく「この 4 人で何か面白いことやりたいね」という話となった。企画書をみんなに出す合図だと思った。

    「実はこんな企画書があるんだけど、どうかな」

     だが当時、他のメンバーは別のグループとして活動していた、そのため「SAM*RAIJAM」はYouTuberとして結成されることとなる。メンバーのあゆむとたかまさはトライゼロの元メンバーであり、あの頃の想いも共有できる。ロバートが自身の復帰の条件を満たしており、YouTuber として再起を図ることとなった。

    社会貢献とアーティストの在り方

     そして現在、ロバートは「SAM*RAIJAM」のリーダー、そしてイベント主催者として、プレイングマネージャーをこなしている。そんな中で今のメンズアイドルやダンス&ボーカルグループを取り巻く業界の構造にも疑問を投げかける。

    「業界を全体的に盛り上げていかない限りは構造的な改革は難しいと思います。というのも今、市場価値が生まれて、たくさんお金を稼ぐ人たちがいる。それなのにお金を正しく使える人間ってどこにいるんだろうって思ったんです」

     曰く、お金を稼ぐアイドルやグループが出てきてもそれがクリエイティブなことに使わずにいるので、業界全体の底上げがされずに一過性のもので終わってしまうということ。

     なかなかにして難しい問題だろう。だからこそ、ロバートにはもうひとつ自身の信念がある。

    「やっぱり社会貢献をしたいという想いは強いですね。自分が何も持ってなさすぎて何もできなかったと思うことが僕の人生の30年間を何回も経験しています。うん。特に東日本大震災。そしてコロナ禍ですね。自分は何もできなかったなっていう想いが強いです。だからこそ社会貢献するために自分が何者かを示さなきゃいけないと思っています」

     今、ロバートはダンス&ボーカルグループを通じて、社会貢献のための仕組みづくりを模索している。プレイヤーとしてステージでの活動はもちろん、裏方のイベント制作者としての企画。その両面から業界の構造を変え、自身が日本を元気にするために少しでも役に立ちたい、そんな想いを馳せている。

     ロバートが歩く道はこの先、どのように変わっていくのか。ただ、パフォーマンスするだけには留まらない、新たなあり方をきっと示してくれるに違いない。

    SHIN. 【SAM*RAIJAM】 X

    https://x.com/roberts_smj

    SAM*RAIJAM X

    https://x.com/samraijam_off

    (C)LIVE ARTIST PRESS

    (写真提供)SAMLIFE LLC

    (インタビュー写真)編集部