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鹿嶋ゆいな
Quest Ship
ちょっとでも笑わせたら勝ち
顔では勝てない。だからパフォーマンスと表情で魅せる」——アイドルグループ「Quest Ship(クエスト・シップ)」のメンバー・鹿嶋ゆいなは、そう言い切る。3歳からダンスを始め、養成所で演技を学んだ異色のキャリアを持つ彼女は、メンバーの入れ替わりという激動の3年を経た今も、自分の弱さを起点に前へ進み続けている。
松原大輔 / 編集・ライター
3歳からはじめたダンスと演技の経験が、ライブアイドルという世界への扉を開いた
――現在の活動内容を教えてください。
鹿嶋ゆいな(以下、鹿嶋) 毎週末のライブをメインに、イベントや取材も行っています。月のステージ数は20本前後で、毎月定期公演も開催しています。
――月20本前後はかなりのペースですね。デビューは2023年8月、今年で4年目に入りますが、振り返ってみていかがですか?
鹿嶋 ライブアイドルは自分にとって初めての世界で、わからないことだらけでした。「なるようになる」と前に進んできたからこそ楽しめた部分も多くて、大変なこともありましたが、この世界をたくさん知れた3年でした。
――「なるようになる」と思えるのは強さですね。では改めてアイドルになったきっかけは何だったのでしょうか。
鹿嶋 もともとは舞台や映像系の演技を個人でやっていて、小さい頃からダンスも習っていました。オーディションでアイドルというものを見つけた時、最初は自分に向いていないと避けていたんですけど、好きなキャラクターとコラボしているアイドルを見て、その世界に入ってみたいと思ったのが最初です。
――演技にダンスと下地があったんですね。ダンスはいつ頃から習っていたのですか?
鹿嶋 3歳の頃にヒップホップからスタートして、ガールズダンス、ブレイクダンスと5つほどジャンルを変えながら16歳まで続けました。1つを極めることが苦手でプロにはなりませんでしたが、10年以上は本格的にやっていました。
――3歳から16歳までというと、人生のほとんどじゃないですか。もう一方の、演技を個人でやっていたというのは? 俳優を目指していたんですか?
鹿嶋 小学校の頃から俳優への憧れはありましたが、現実的ではないと思って周りには言えずにいました。高校の進路を決める時に後悔したくないという気持ちで踏み切り、自分で養成所に入って1〜2年、演技の基礎を学びました。
――俳優の養成所に通われていたのですね。
鹿嶋 そうなんです。それで芸能に進むと決めてから、知名度を上げる目的で生配信を始めました。アカウント自体は小学生の頃から母が管理していましたが、自分で動かし始めたのは高校生になってからです。
――知名度を上げるため、と考え方が戦略的ですね。そしてQuest Shipのオーディションへ。俳優からアイドルへという道に迷いはなかったのでしょうか。
鹿嶋 実は1つ前に別グループのオーディションを受けて落ちていて。だから、ここがダメだったらアイドルはもう受けないという覚悟で応募しました。
――背水の陣だったんですね。ということは、ご両親には相談せずに?
鹿嶋 2次審査が通るまで黙っていて、「明日オーディションだから行ってくるね」くらいの軽さで打ち明けました。合格を伝えた時はすごくお祝いをしてくれました。
メンバーの入れ替わりという激動の3年を経て「最初に走り出した時とはまた違う物語」
――デビュー当時、どんなアイドル像を描いていましたか?
鹿嶋 自分の中のアイドル像はももちさん(嗣永桃子)で、ファンに元気や希望を与えてキラキラした世界を見せる存在だと思っていました。ライブアイドルはファンとの距離の近さが魅力で、デビューライブに意外と多くのお客さんが来てくれたのが印象に残っています。
――なるほど。この3年でメンバーが大きく変わりました。残った側として、どのように受け止めていましたか?
鹿嶋 見送った記憶はほとんどなく、気が付いたらいなくなっていたという感覚です。この世界ではそういうものだと学びながらも、自分は入ったからやり続けるのが当たり前という気持ちでいました。現場は大体が急で、フォーメーションも都度作り直し。「またか」と思う瞬間もありました。
――見送る間もなくいつの間にか、というのが正直なところなんですね。そんな状況の中で、メンバー同士の関係はどのようなものでしたか?
鹿嶋 ステージへの思いは個々に違っても、そこへの団結はできる。学校ではないという認識は全員が持っていて、それぞれを尊重しながら一緒にステージを作ってきました。
――「学校ではない」という言葉にプロ意識を感じますね。グループは最初にスタートした形から、3年間で大きく変わりました。当初イメージしていた姿と今とでは、乖離を感じますか?
鹿嶋 だいぶ変わったのは事実です。この体制になる時に「RESTART」というタイトルでイベントをしたように、最初とは違う物語を歩んでいます。ただ悲観はしていなくて、今のメンバーで新しい物語を作っていくつもりです。
――すごいメンタルですね。一方で、ファンに対して思うことはありますか?
鹿嶋 ファンには外側しか見えないので、メンバーが変わり続ける状況は良くないとわかっています。推しがいなくなって悲しむファンをたくさん見てきたからこそ、そういう状況をこれ以上続けるつもりはありません。
「顔では勝てない。だからパフォーマンスと表情で見せる」自分の弱さを知るからこそ磨かれるプロ意識
――3年間この世界を見てきて、ライブアイドルの魅力はどこにあると思いますか?
鹿嶋 ファンとの距離が近く、成長をそばで見てもらえるところです。TikTokをはじめとするSNSの広がりでライブハウスに足を運ぶ人も増えていて、オタクだけの世界ではなくなりつつある。来てみると意外と楽しい場所だと知ってもらえると思います。
――「来てみると意外と楽しい」は、まさにその通りだと思います。では、グループとしてはどんなパフォーマンスを見せたいですか?
鹿嶋 Quest Shipの色は「元気」です。一人ひとりの個性がバラバラなのに統一したステージを見せられるのがグループの面白さで、元気でパワフル、いい意味で無邪気さがあるのがグループの魅力だと思っています。
――確かにステージから無邪気さは伝わってきますね。いろんな対バンで他のアイドルも見てきたと思いますが、3年間でご自身のプロ意識に変化はありましたか?
鹿嶋 根本は変わっていません。ただ、ダンスをやっていた頃はステージが嫌いで端っこにいたかったくらいでした。アイドルになってからは注目してもらうのが仕事なので、そこは大きく変わりました。
――端っこにいたかった人がアイドルに。意外ですね。しかも歌もアイドルのダンスも未経験でのスタートでした。どう向き合ってきたんですか?
鹿嶋 人に勝てる部分は1つもないと、ずっと思いながらやってきました。だから苦手なことを人より多くやると決めていて、デビュー当時から歌がすごく苦手だったので、歌は人よりやるぞと決めたり。顔で勝負できる子がたくさんいるこの業界で、自分はパフォーマンスと表情で見せるしかないと最初から思っていて、それが今もブレていない軸です。
――その感覚を持ち続けられる人は、なかなかいないですよ。他のアイドルの研究もしているんですか?
鹿嶋 なぜあの子は人気なのかを、ファンより先に気づきたいんです。映像を1日何本も見たり、見学できる時は朝から夜まで全部観たりしていました。自分に足りないものを見つけても落ち込みはしません。例えば表情管理が足りないと思ったら、あの子は私より2年早く始めているから、その2年分を埋めるために毎日もっとやらなきゃいけない、そう考えるだけです。
――これは少し意地悪な質問なのですが、ライブアイドルは似たようなセットリストを週末ごとに繰り返しますよね。飽きは感じませんか?
鹿嶋 私は髪型も変えないし、メイクが大きく変わるわけでもないので、ずっと通ってくれている方には見た目の変化が分かりにくいと思うんです。だからこそ、その日の空気と1曲1曲のレスで毎回違うものを見せようとしていて、飽きたことはないです。ステージ前はフロアの空気を確認して、静かでも盛り上がっていても声を出させようと思って臨む。ちょっとでも笑わせたら勝ちだと思っています。
――「ちょっとでも笑わせたら勝ち」、いい言葉です。少し現実的な話も伺いますが、動員数など数字は気になりますか?
鹿嶋 気にしないわけではないですが、一喜一憂するのは違います。来てくれた人を楽しませて、そこからファンになってもらうという考え方でやっています。
――一喜一憂しない強さも、この3年の積み重ねですね。では最後に、今後の目標をお願いします。
鹿嶋 グループとしては11月まで毎月定期公演をやっているので、ぜひ来てほしいです。毎月コンセプトを変えて、メンバーみんなで意見を出し合いながら変化をつけています。自分が良いと思うパフォーマンスをより多くの人に届けること、それが今一番の目標です。自分のグループはめちゃめちゃいいグループだと思っているので、それを多くの人に見てもらえたら嬉しいです。
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