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姫乃あや
青山Rabness
前編
バンドをするために上京も気が付けばアイドル
波乱のアイドル人生を歩む姫乃あや
なぜアイドルは転生を繰り返すのか。そして、元いたグループに出戻るアイドルはどんな気持ちなのか。ファンならずとも一度は聞いてみたいアイドルの本当の気持ちを素直に語ってもらった。
松原大輔 / 編集・ライター
―― 2018年にアイドルデビューされています。その後、2021年に青山Rabnessに加入され、2023年に脱退。2025年に再加入というアイドルとしては珍しいキャリアを歩まれています。
姫乃あや(以下、姫乃)はい。いつくかのグループでやってきました。
―― 複数のアイドルグループを渡り歩いて続けられていますが、どんなアイドルがお好きだったんですか?
姫乃 好きなのは中森明菜さんですね。
――中森明菜さんというと、姫乃さんの世代よりはもっと前になりますね。
姫乃 そうですね。テレビでたまにやる昭和歌謡曲特集みたいなのを観て一目惚れしたんです。
――なるほど。では今のライブアイドルの存在はどういったところで知ったのでしょうか。
姫乃 入るまではまったく知りませんでした。存在も知らないし、特典会があるのももちろん知らなくて、自分がグループに入ってから知りました。
――なるほど。1番最初、2018年にアイドルになろうと思ったきっかけってなんだったんですか?
姫乃 最初はアイドルではなく、ピアノやベースなどの楽器やっていました。バンドをやるために地元の群馬から上京してきました。
――バンドだったのですね。ピアノは小さいころから習われていたのですか?
姫乃 ピアノは10年以上やっています。家にピアノがあって、弾いてみたら楽しいからやりたいみたいな感じで始めました。でもクラシックとか本格的にピアノの道に進もうとは思っていなかったので楽しむ感じで続けてました。
――ピアノからベースを弾かれるようになったきっかけはなんだったのでしょうか。
姫乃 高校で軽音楽部に入ったことですね。そこで楽器をギターとか色々やってみて、1番しっくりきたのがベースだったんです。
――それでベースを始められたんですね。どういったバンドをやられていたんですか?
姫乃 BOØWYのコピーバンドですね。地元群馬ということもあってみんな一度は曲をやるみたいなところはありました。それで高校を卒業する前に音楽の専門学校に行こうかどうか迷ったんですが、東京でバンドやろうと思ってベース1本持って上京したんです。
――かっこいい上京物語ですね。プロのバンドマンになろうと思ったわけですね。
姫乃 はい。本当にちゃんと楽器を弾いていこうと思ってきました。
――地元のメンバーと一緒にそのままバンドを組みながらではなくお一人ですか?
姫乃 そうです。もう1人できました。バンドメンバーは東京で探そうと考えてました。
――ではそこから本格的にバンドを始められたと。
姫乃 上京してバンドを始めたのですが、実は売れようという本気のやつはやってないんです。会社員で半分趣味のおじさま達と組んでました。
――バンドを本気でやろうと思ったけど、集まったメンバーがプロを目指すというものではなかったのですね。
姫乃 そうなんです。それで何をどうしたらいいのか、本当にわからなくて、そこで当時、思いついたのが音楽や芸能事務所に入ればなんとかなるって単純に思ったんです。一旦、どこかしら事務所に入ろうみたいな感じでオーディション受けにいったんです。その一番最初の事務所でアイドルを誘われたのがきっかけですね。
――なるほど。バンドをやるつもりで入った事務所がアイドルだったわけですね。でもバンドとはやりたいことは違いますよね。なぜアイドルをやろうと思われたのでしょうか。
姫乃 本当にライブアイドルっていうのを知らなかったので事務所に入ってデビューをしたら、もう売れるものって思いこんでいたんです。売れるならアイドルでもいいと思ってはじめたら、「なんだこれ」みたいな感じでした。最初の頃はよくわかってなかったんです。―― そうですよね。バンドを始めるために入ったらアイドルとなるわけですからね。続けていく中でアイドルとしてのプロ意識が芽生えてきた感じでしょうか。
姫乃 そうですね、一応、上京した時に何かしら成し遂げよう、という若い時の野心、その熱量だけはずっと強くあったので。
――それは、ベーシストとしてではなく?
姫乃 そうですね。いずれアイドルが成功したらベースをやろう、というのは最初の頃はありました。
――なるほど。その後、グループを移られていますが、どのようなきっかけで違うアイドルグループに行こうと考えられるのでしょうか?
姫乃 そうですね……焦りが1番大きいと思います。私は最初の頃から何歳までにここに立ちたいっていう目標は細かくあったので。今のこのペースだと間に合わないってなる。やっぱり常に進んでいる他人が羨ましく見えちゃう。それで、焦ってはやめて、焦ってはやめてという感じです。
――細かな年齢目標があったわけですね。当初のそのあたりはアイドルではなくて割とバンド寄りの思考ですね。そんな中で、今の青山Rabnessを知ったきっかけはなんだったのでしょうか?
姫乃 前のところを辞めて、今のままでは間に合わないと思っていんです。それで、たまたまプロデューサーさんを知っていてお声がけいただきました。――誘われる形で移籍してきたという流れなのですね。いきなり核心を突くようなご質問ですが2023年に一度、脱退されてるわけです。この時は何があったのでしょうか?
姫乃 これもほぼ焦りですね、焦り。早くしないとみたいな感覚が常にありました。この時は自分でアイドルを続けるのは30歳までって決めてたんです。だからそれまでにこなすべき目標があった。その先は就職しようと決めていたんです。だから1年1年が常に自分に重くのしかかっていました。
――自分に30歳までに達成すべき目標を課していたわけですね。いつ頃、作られたのですか?
姫乃 アイドルを始めるぐらいには決めていました。
――その目標を達成できる環境を求めて移籍を繰り返されていたわけですね。その焦りとはどんな感じの感覚なのでしょうか。
姫乃 なんだろう。アイドルを辞めても大丈夫なようにしておかないと、という気持ちでしたね。他で仕事をしているとかもなかったので、辞めた後の人生が大変だなって思っていたので。だから、アイドルでなんとかしないと、全部何もないまま人生が終わっちゃうような感覚でした。
――アイドルを卒業した後のことも考えてずっと行動されていた?
姫乃 アイドルを辞めた後のことはもう捨てたと同じくらいの感覚でした。
――後のことはもういいから、とにかく30歳までになんとかしないといけないという焦りですね。そのために行ってこられたことはありますか?
姫乃 プライベートはもう全くなかったというか、完全に捨てていました。いらないぐらいに思ってやっていました。例えば、その時は配信を毎日続けてやっていました。でも最初に青ラビにいた時は周りが全く見えていなかったですね。自分のことだけで、目先の1、2カ月ぐらいしか考えてないって感じだったので、もうやめるって自分が決めたらやめるし。
――突発的に辞められるのを決めたのですか?
姫乃 割とそうですね。それで発表出してから3、4カ月後に離れる形です。でもやっぱ常にどうしようみたいな感覚はありましたね。
――辞めるにあたり、相談はされたりしてるのですか?
姫乃 私は誰にも相談してないですね。自分がアイドルとしてやりたいこととか、自分にできることのライン。その兼ね合いでしたね。
――2025年に少しアイドルじゃない時期がありますね。
姫乃 はい。もうアイドルやらないつもりでした。――しかし、再び2025年に青ラビに再加入されるわけですが、この時は何があったのでしょうか?
姫乃 なんだろうな。こんなに何もない人生を初めてだったんです。正直、アイドルを辞めた後、つまらなかったです。
――つまらなかった。この期間は働かれていたんですよね。
姫乃 はい、初めて就職して働きに出ました。でも、好きじゃないことって全然覚えられなくて、何にもできなかったんです。それで、これちょっと続けていくの難しいな、となって……。数カ月で辞めました。バンドをやるために上京。その後、気が付けばアイドルと言う面白いキャリアを持つ姫乃。脱退と加入を繰り返した理由は自身に課した目標のため。聞かなければ知ることが出来なかったその理由は無視できないものだろう。

姫乃あや
青山Rabness
後編
グループへの出戻りアイドルの本音激白
転生。俗にアイドルが別の事務所やグループに移籍して活動を続けることを言う言葉だ。今回はそんな転生を繰り返しながら、元いたグループに出戻り活動している稀有なアイドル姫乃あやにその真意を聞いてみた。なかなか語られることのない、転生、出戻りアイドルの言葉がここにはある。
松原大輔 / 編集・ライター
青山Rabness再加入した本当の理由
――2025年に青山Rabnessに再加入されたいきさつを教えてください。
姫乃あや(以下、姫乃) すぐにアイドルに戻るつもりはなかったんです。偶然、青ラビの運営さんから連絡をいただきライブに誘われたのが最初です。その時は、久しぶりに青ラビのライブを見てみたいなぐらいの気持ちでした。
――ライブへのお誘いがあったわけですね。アイドルではない立場で見たステージはどのように見えましたか?
姫乃 自分がいた頃のグループとやっぱりもう変わっていましたね。当時よりも凄くレベルも上がっていて、そもそも、そこまでのレベルに当時の自分が達していないのはわかっていたので、その時はライブを観て、アイドルをまたやりたいという気持ちにまではなれませんでしたね。でもだからといって“アイドルはもう辞めた”ともならなかったので、その後ちょっとまた時間を掛けて考えました。
――レベルがもう上がっているのはもう客観的に見てわかったわけですね。自分が辞めずに続けていればよかったなという気持ちはありませんでしたか?
姫乃 そうですね。でも、辞めてからわかったことも結構たくさんあったんです。アイドルのキャリアで言ったら続けるのが一番正解かもしれないんですけど、自分としては一旦離れた方が正解だったかもしれません。ステージを見てなるほどって思いました。
――アイドルではない期間に何がわかりましたか?
姫乃 今は焦りが全くないんです。続けていたらずっと焦っては辞めての繰り返しだった気がします。それから、目先のことだけじゃなく、もっと先のことや周りを見るようになりました。アイドルじゃない自分を経由するのは必要でしたね。
――色々と考えられたと思います。アイドルでいたい、という気持ちはどこかに残っていたのでしょうか。
姫乃 もう1回やろうかなってふと思ったんです。今までは焦る気持ちが強すぎて自分が前、グループが後ろみたいな感覚でした。とにかく目立ちたいとか、売れたいという感じでしたね。でも辞めた後は、それがもう全く無くなっていたんです。
――それまではその我の強さもあり、グループと反りが合わなかったということもあったわけですね。
姫乃 そもそもグループのこと考えるということをしたことがなかったです。自分のことで精一杯で他のメンバーの人生を考えてなかった。
――そのくらい、離れている期間に大きな心境の変化があったわけですね。
姫乃 良くも悪くも我が弱くなっちゃったので。前にアイドルでいた時はなんかしら常にアイドルでいることを考えていましたが、今はそれが全くなくなったんです。配信活動とかも一切やめて本当に何者でもなくなったからだと思います。
出戻りメンバーとしての本音
――いわゆる出戻りなわけですが、今更、戻ってどうなるのかという気持ちはありましたか?
姫乃 戻った後が大変、責任がかなりあるなと思っていました。それを背負えるかどうかっていうことで悩みました。
――正直、その前に辞めていった後ろめたさが残っていたりしませんでしたか?
姫乃 考えると、やっぱり残っているメンバーからしたらどうなんだろうとは思いました。そもそも入ってくるっていう時点でやっぱり考える子もいますよね。元々いた人が戻ってくるのは、あまり嬉しくないだろうし、そこもすごく考えました。
――そうですよね。抜けて大変だった時期も支えて、さらに良くされてきたメンバーなわけですからね。その時は前に決めていたような目標はあったのですか?
姫乃 何歳までに何をするという目標は無くなりましたね。今、時折スペシャルステージというお客さん1人だけに対してのライブをしています。そこで、涙を流しているお客さんもいて、それを見た時にやり切ったなって気持ちになったんです。こんなに感動して泣いてくれる人がいるんだ、という感覚に初めてなりました。自分が探していたのはこれだと思いました。
――初めてファンと向き合ったという感覚でしょうか。
姫乃 そうですね。今は目の前の1人1人を見るようになっています。それまではお客さんが少ないとか、それこそ焦ってどうしようみたいな気持ちでした。でも今はお客さんが1人でもいてくれるならその人のために頑張ろう、という気持ちが大きいですね。
―― 今、振り返ってみて、なんでそれほどまでに焦っていたんだと思いますか?
姫乃 多分、数字にとらわれ過ぎていたんだと思います。数字が全てみたいな感じですね。動員や売上やあらゆる数字です。自分に課していた目標の数字があったのでそれです。
――その目標が焦りを生み数字にとらわれていたわけですね。今、グループに戻られていかがですか?
姫乃 今すごくグループのバランスがいいので、このままステップを上げていきたいですね。 ただ、その中でもアイドルとしては1人でもたステージに立てるようにはなりたいです。ソロがやりたいというわけではなく、ソロでも立てるぐらいの力を持ってグループの1人になりたいっていう想いです。
――一度、辞められてから戻られた経験は貴重だと思います。今、悩んでいる同じアイドルの方などに伝えるとしたら何を伝えますか。
姫乃 焦らずにとにかく続けることが大切だと思います。本当にどうしようもなかったら私みたいに少し離れて見直してみるのもいいと思います。
離れたからこそわかることがある。これはアイドルに限らず重要なことだろう。一度、自分自身の状況を俯瞰して見たからこそ、元居た場所でそれまでとは違った立ち振る舞いも可能になる。少し離れてみること。多くの人たちに必要なことではないだろうか。そんな学びのあるインタビューとなった。
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